いまの世界が変わるとしたら、どこへ向かうのか。
いまの時間の流れが変わるとしたら、なにがが短くなり、なにが長くなるのか。
いまの道徳感が変わるとしたら、なにが良いコトで、なにが悪いコトになるのか。
いまの価値観が変わるとしたら、なにを信じたら良いのだろう。
発酵のひみつを中心に見つめ直してみれば、なにか理かることもあるかもしれない。
そういう思いで、発酵を中心としたマップを描いてみました。
いま、発酵食界隈で挙げられるキーワード『美容健康』『食育』『FAB』『Bio』かなと思います。
そこで、その周辺で想うところを紹介したいと思います。
<食育>
近年、私たち不二家にも保育園や小学校でみそつくり教室を開催してほしいというご依頼が多くなっています。
みそをつくる工程は、子どもでもできる単純な工程が多いので、食育の現場では重宝されているようです。
ただ、『みそをつくる』という工程をよくみてみると、単純な工程のなかにとても大切なことが隠れていると思っています。
- 1.まず、炊き上がった米を冷まし、良い米の土壌をつくります
- 2.その米の土壌に『種麹』を蒔きます。文字どおり麹の種撒きなんです
- 3.種麹がより繁殖するように適温・適度を保つため麹室に入れ、さらに混ぜ合わせた「土」が固くならないよう定期的に手入れしかき混ぜます。これを文字どおり『手入れ』といいます
- 4.定期的に混ぜ合わせた「土」には麹菌が繁殖し、酵素を生み出し麹の花を咲かせます
- 5.その米麹に、蒸した大豆を混ぜ合わせて寝かせたら、お味噌ができあがります
この工程をみてみると、畑しごとにとても似ていますよね。
土壌をつくって、種を植えて、花を咲かせ刈り取る。
この一連の流れを単純化して子どもたちに伝えること。それは、まさに食べものを育て、それをいただくという行為そのもの。
<FAB>
FAB(ファブ)は、Fabricationの略称。つまりは『ものをつくる』といこと。
近年Fabは、「Fabrication=ものづくり」と「Fabulous=楽しい、愉快な」の2つの意味が含まれた造語で、あらゆるものづくり行為の総称として使われていることばです。
いまの大量生産や大量消費、大量廃棄の時代、私たちはお金を出せばなんでもば手に入れることができます。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみれば、『ちょっとしたなにかをつくる』という行為や経験こそ、『産み出す』という価値ある創造的な行為の一歩だと思いませんか。そんな価値ある行為を失いつつある時代なのかもしれません。
壊れたものを修理したり、手料理をつくったりすることで、それが自己表現となり、他の人とのつながりにも広がってゆく。
もともとMITのNeilGershenfeld教授のFab憲章から始まった世界の”FAB”活動。
それはデジタルとリアルの壁を自由に横断し、次のイノベーションを生み出す時代のキーワードでもあります。
ファッションもバイオも数学も。アートも建築もスイーツも。自分のアイデアをすばやくカタチにするというマインドが新しい時代のトビラを開くのは間違いありません。
<Bio>
100年に一度のパンデミック。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ほぼ100年ぶりに全世界を襲った、最悪のパンデミック(大流行)となりました。
これにより、インドを含めた南アジア諸国は、過去40年間で最悪の経済危機に直面しています。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は今後何十年にもわたり影響を及ぼすという考えを示しました。
この状況がいつまで続くのか、はたまた新しいwithコロナの状況に移行してゆくのか、先の見通せないまさにVUCAの時代となっています。
そんななかで私たちが注目しているニュースが発酵食とコロナウイルスとの関係です。
新型コロナ感染や後遺症に有効なアミノ酸「5-ALA」とは。論文発表の長崎大・北教授に聞く
北教授は、ヒトが体内に持っている天然のアミノ酸「5-アミノレブリン酸(以下、5-ALA)」が、新型コロナウイルスに対し、強い感染抑制効果があることを示しました。
現在、新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「特定臨床研究」が進められているそうです。
5-ALAの良いところは、もともとヒトが持っているアミノ酸であり、10年以上に渡り安全性が確認されているというところ。
もし臨床試験でもウイルスがこれ以上増殖するのを抑えることができれば、身体にとっても負荷のない感染抑制になるかも。
<健康美容>
『真善美』ということばがあります。
辞書にはこう書いてあります。
〘名〙 認識上の真と、倫理上の善と、審美上の美。理想を実現した最高の状態をいう。この三つは、それぞれ論理学・倫理学・美学という独立の学の主題であるとみられる場合もあるし、また、価値論で、相互に関連し合った統一的な価値とみられることもある。
この三番目の審美上の美。
これが、つねづねみんなこぞって求めるもとのしての美しさ。
形や釣り合い、テクスチャやハーモニー、神秘性やはかなさなど、美にはいろいろな顔があります。
人間の容姿についていうならば『美容』均整のとれた顔立ちやスタイル、肌の美しさなんかですね。
その『美容』を基礎となるのが、健康でしょう。
健康とは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態なんだそうです。
そんな完全な状態になってみたいと思う私は健康ではないのでしょうか。みんなが求めるのも無理はありません。
そんな壮大なコトを考えながら、発酵食の側面を考えてみます。
「発酵」が美容に良いと注目されるようになった理由は、大きく分けて2つあります。
1.発酵食品は腸内環境を整えてくれる
近年は「キレイな肌を作るためには、腸内環境を整えることが必要不可欠」という考え方が常識になりつつあります。たとえば、便秘がちなときには肌も荒れやすいもの。腸の調子を整えれば、肌の調子も整いやすくなります。
- 2.化粧品成分としてスキンケア効果がある
いままでは食品として身近だった発酵ですが、ここ数年は「化粧品成分」に取り入れる試みが活発になっており、美肌効果が高いとして評判を呼んでいるようです。
ここ数年、スキンケア化粧品には「発酵ブーム」。さまざまな化粧品ブランドから発酵由来の成分を配合した新商品「発酵コスメ」が登場しています。
たとえば、乳酸菌、イースト菌、米、はちみつ、牛乳のような素材を原料とした成分が開発されています。
まさに「からだの内側と外側の両方」から発酵を取り入れることで、高い美容効果が期待されているのです。