みなさん、晩酌はなにをお召し上がりでしょうか。発泡酒とか焼酎とか、お好きなものがあるでしょう。それでは、私の好きな生ビール。そもそもその『生』ってなんでしょうか。生ビールって居酒屋に行ったら出てくるビールのことでしょ?』と、思っている方も多いのでは?でも実は違うんです。普段皆さんが家で楽しんでいる缶ビールや瓶ビール、それらのほとんどが「生ビール」なのです。
秘密は、つくり方にあり
「生ビール」について知るために、ビールのつくり方を簡単に知っておきましょう!ビールは、以下のような工程で造られます。ちなみに、この作り方。醤油も似ています。醤油の場合、原料は麦と大豆を使って麹菌を製麹し、3年かけて発酵させた諸味をつくります。
① 製麦
② 粉砕
③ 仕込み
④ 発酵・貯蔵
⑤ ろ過(熱処理)
⑥ パッケージング
ズバリ!!『生』と『非生』の違いは?
⑤ ろ過の工程で熱処理を行ったビールを「熱処理ビール」と呼び、熱処理を行わないビールを「生ビール」と呼びます。
熱処理ってなに?
生ビールの定義が「熱処理」で決まると言われても、よく分からないですよね。熱処理といっても、高温でグラグラと煮立てたりはしません。50〜60℃という比較的低い温度帯で処理が行われます。この「熱処理」、ビールづくりにおいてとても大切なのです。熱処理を行う理由は主に3つです。
熱処理を行う理由
① 酵母の働きを止めること
② 醸造の工程で混入した雑菌の活動を可能な範囲で止めること
③ 色と味、香りの調整
熟成の具合やバランス、加熱温度の微妙な違いが味を左右するとても大切な工程なんです。醤油の場合、熱処理のことを『火入れ』と呼び、職人の腕の見せどころとなっています。
醤油の『生』もあるの?
ここで、ふと疑問。醤油業界にも『生しょうゆ』っていう言い方があります。お酒とほぼ同じ製法でつくられるしょうゆですから、当然と言えば当然です。
つまり、熱処理を行わないしょうゆを「生しょうゆ」と呼びます。諸味を絞った後、火入れをせずにろ過のみを行なったしょうゆです。そのままだど、香りも味も穏やかです。加熱すると、火入れした醤油よりも香りが際立ちます。ちなみに、料理家の方々は『生じょうゆ』と書いて『きじょうゆ』と言いますね。これは料理業界用語で、料理をするときにだしやみりんで味付けした醤油と、味付けをしていない醤油を呼びわけるために味付けしていない醤油を『生じょうゆ』と呼んでいます。これは『なましょうゆ』とは意味が違いますからご注意ください。

不二家の熱処理(火入れ)の様子

味、香りを整える