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つくること、と『文化』カルチャー

2021.01.15

『文化』カルチャーってなんだ?

『文化』というと、すぐ芸術、美術、文学や、学術といったものをアタマに思い浮かべる人が多い。農作物や農業などは”文化圏”の外の存在として認識される。しかし文化という外国語のもとは、英語で『カルチャー』、ドイツ語で『クルツール』の訳語である。この語のもとの意味は、いうまでもなく『耕す』ことである。地を耕して作物を育てること、これが文化の原義である。

 

・・・人類はかつて猿であった時代から、毎日食べつづけてきて、原子力を利用する現代までやってきた。その間に経過した時間は数千年でなく、万年単位の長さである。また、その膨大な年月の間、人間の活動、労働の主力は、つねに、毎日の食べるものの獲得におかれてきたことは疑う余地のない事実である。

 

・・・人類は、戦争のためよりも、宗教儀礼のためよりも、芸術や学術のためよりも、食べる物を生み出す農業のために流す汗が、全世界的にみればもっとも多いであろう。過去数千年間、そして現在もいぜんとして、農業こそは人の努力の中心的存在である。

 

中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』


『ものやコトをつくる』ことの意味

最近ニュースなどで耳にする機会が増えた「SDGs」。日本でも企業や地方自治体、大学などでSDGsの達成に向けた積極的な取り組みが始まっている。このような新しい目標を掲げたイノベーションには、文化(社会)としてのバージョンアップが求められ始めたターニングポイントだと言えると思う。たとえば、これまでは企業はどちらかと言えば、儲けたお金の一部、余ったお金を使って社会に良いことをやろう、という発想だったものが、SDGsでは本業を通じて儲けながら世界を変えていこう、という発想の大きな転換がある。ビジネスの力、お金の力を使って世界を変えていこうという現れでもありSDGsの可能性を感じる部分でもある。

 

OICがめざす日本型の新オープンイノベーション戦略 | 情報通信(ICT) | スマートグリッドフォーラム

 

ちなみにSociety5.0とは以下で表現されている。
狩猟社会(Society1.0)
農耕社会(Society 2.0)
工業社会(Society 3.0)
情報社会(Society 4.0)
超スマート社会(Society 5.0)

 

そこで立ち止まって、と思う。ビジネスにおいて『お金の力』はものすごい。かつ、工業や情報が巻き起こす社会の変化スピードは凄まじく、以前の狩猟、農耕の時代とが比べ物にならない。でも、人間は『その膨大な年月の間、人間の活動、労働の主力は、つねに、毎日の食べるものの獲得におかれてきたことは疑う余地のない事実である。』(中尾佐助)

 

だから、『食料をつくる』という意味で、今おかれた農業や食品加工の課題を変えるようなビジネス・イノベーションももっと必要ではないだろうかと。貧困をなくし、飢餓をなくし、すべての人に健康と福祉が享受される社会。そんな社会を創る一助となれたらいいなと思う。


食品加工に1ドル払うと、そのお金はどこへ行く?

たとえば、アメリカ合衆国農務省のデータによると、加工食品の売価のうち、原材料を作る生産者の手元に入る利益は、たったの20%。残りは、人件費、包装費、輸送費、宣伝費などを食品メーカーに支払っていることになる。食品メーカーは、原材料を加工して、付加価値をつけて販売することで儲けを得る。つまり、原材料をできるだけ安く抑えられれば、必然的に儲けは大きくなる。これが現状。

 

 

こういった状況に変化が現れはじめている消費行動が『応援消費』や『エシカル消費』だと思う。人や企業・地域などを応援するためにお金を使う「応援消費」をする。

 

最近では「ふるさと納税」、「クラウドファンディング」、「推しているアイドルへの消費」など。エシカルとは英語で、直訳すると「倫理的な」という意味。「法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」消費者と生産者も繋がっているため、消費者のものを選択する基準が変われば、自ずと企業が生産するもののあり方も変化する。

 

逆に、企業が生産するもの意図的に変化させて、消費者を啓蒙することだってできる。私たちには立場に関わらず「つくる責任、つかう責任」があると思うのです。

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